旧正月とは?日本で馴染みが薄い理由と、世界各国のユニークな旧正月をご紹介
毎年1月1日に迎える「お正月」は、日本人にとって当たり前の行事ですよね。でも、アジアの国々では、少し遅れてやってくる「旧正月(きゅうしょうがつ)」こそが、最も盛大に祝われる一大イベントなんです。
「旧正月って何?」「なんで日本ではあまり馴染みがないんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?今回は、旧正月がどんなお正月なのか、日本で馴染みが薄い理由、そして世界各国でどのように祝われているのかを、分かりやすくご紹介します。旧正月の奥深い文化に触れて、新しい発見をしてみませんか?
旧正月とは?「旧暦」に基づくお正月
私たちが普段使っている「新暦(グレゴリオ暦)」の1月1日は、太陽の動きに基づいて決められています。一方、旧正月は、太陽と月の動きを組み合わせた「旧暦(太陰太陽暦)」に基づいて定められています。
- いつ?: 旧暦の元旦にあたる日で、毎年日付が変わります。新暦では、1月下旬から2月下旬頃になることが多いです。
- 別名: 中国語では「春節(しゅんせつ)」、韓国では「ソルラル」、ベトナムでは「テト」など、国によって様々な呼び方があります。
旧正月は、アジアの多くの国で、家族が集まり、盛大にお祝いをする大切な祝日です。日本のお正月と同じように、故郷に帰省したり、ご馳走を食べたり、お年玉をあげたりする習慣があります。
なぜ?日本で旧正月が馴染み薄い「2つの理由」
かつて日本も旧暦を使っていましたが、明治時代に新暦へと移行したことで、旧正月を祝う文化は廃れていきました。
1. 明治時代の「改暦(かいれき)」
明治政府は、欧米諸国との足並みを揃え、近代化を進めるため、明治5年(1872年)に太陽暦(グレゴリオ暦)を導入し、翌年(1873年)から新暦の1月1日を正月と定めました。これにより、旧暦の行事はほとんど廃止されたか、新暦の同じ日付(例:七夕は旧暦7月7日から新暦7月7日へ)に移行しました。
欧米列強に追いつくための政策の一つであり、迅速な社会改革が求められた時代背景があったため、旧暦に根ざした習慣は徐々に薄れていったのです。
2. 新暦へのスムーズな移行と国民性
日本の国民性が、新しい制度や文化を比較的スムーズに受け入れる傾向にあったことも一因と言われています。大きな混乱なく新暦が定着し、旧正月を祝う習慣は一部の地域(沖縄など)を除いて全国的に見られなくなっていきました。
現在でも、沖縄や奄美大島など、一部の地域では旧暦に基づく行事が残っており、旧正月を祝う文化も息づいています。
世界各国・地域のユニークな旧正月をご紹介!
日本以外の国々では、旧正月はまさに一年で最も盛り上がるお祭りです。それぞれの国や地域によって、祝い方や習慣に個性があります。
1. 中国(春節:チュンジェ)
旧正月といえば、やはり中国の「春節」が有名です。世界最大級の民族大移動が起こり、爆竹や花火が盛大に打ち上げられます。
- 特徴: 家族全員で大晦日の夜に豪華なご馳走(年夜飯)を囲み、餃子などを食べます。赤い飾り付けや提灯で街中が彩られ、赤い服を着る人が多いのも特徴。子どもたちには「紅包(ホンバオ)」と呼ばれるお年玉が配られます。獅子舞や龍舞が街を練り歩き、にぎやかに新年を祝います。
- 期間: 通常、春節を挟んで7日間ほどの大型連休となります。
2. 韓国(ソルラル)
韓国の旧正月「ソルラル」は、家族の絆を大切にするお正月です。
- 特徴: 家族で民族衣装の「韓服(ハンボク)」を着て、ご先祖様を祀る「茶礼(チャレ)」を行います。伝統的な餅スープ「トックク」を食べるのが定番で、これを食べると歳を一つとると言われています。大人たちは子どもたちに「セベットン」というお年玉をあげ、ボードゲームの「ユンノリ」などで遊びます。
- 期間: 大晦日、元旦、2日の3連休が一般的です。
3. ベトナム(テト:Tet)
ベトナムの旧正月「テト」は、一年で最も重要な祝日。街中がお祭りムード一色になります。
- 特徴: 黄色の梅の花「ホアマイ」や桃の花「ホアダオ」を飾るのが特徴的です。大晦日には「バインチュン」というちまきのような伝統料理を食べ、家族や親戚が集まります。先祖供養を大切にし、お寺や神社にお参りする人も多いです。子どもたちには「リーシー(幸運のお金)」という赤い封筒に入ったお年玉が配られます。
- 期間: 7日間の祝日となり、交通機関も混み合います。
4. シンガポール・マレーシアなど多民族国家
多民族国家のシンガポールやマレーシアでも、旧正月は盛大に祝われます。
- 特徴: 中国系住民が多いため、中国の春節の習慣が色濃く残っていますが、それぞれの文化が融合したユニークなお祝いが見られます。「イーサン」と呼ばれる、魚介と野菜を混ぜ合わせたサラダを皆で高く投げ上げ、繁栄を願う儀式は有名です。赤い服を着たり、みかんを交換したりする習慣もあります。
まとめ:旧正月は、アジアの文化と歴史を知る機会
旧正月は、日本とは異なる暦と文化を持つアジアの国々で、今も大切に受け継がれている大切な祝日です。日本で馴染みが薄いのは、明治時代の大きな改暦が背景にありますが、その分、世界の旧正月を知ることで、多様な文化や歴史に触れることができます。
爆竹の音、家族の賑やかな声、特別なご馳走…それぞれの国で異なる方法で新年を祝う姿は、きっと新しい発見と感動をもたらしてくれるでしょう。これを機に、旧正月の文化に目を向けてみてはいかがでしょうか?