贈り物の「熨斗(のし)」って何?水引の種類と正しい使い分けを徹底解説!
お祝い事やお悔やみ事で贈り物を贈る際、「熨斗(のし)」や「水引(みずひき)」という言葉を耳にすることがありますよね。「なんとなく知っているけど、種類が多くてどれを選べばいいのか分からない」「間違った使い方をして失礼になったらどうしよう…」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
熨斗紙は、単なる飾りではなく、贈る相手への心遣いや、品物に込められた意味を伝える大切な役割を持っています。間違った選び方をしてしまうと、せっかくの気持ちが伝わらなかったり、相手に不快な思いをさせてしまったりする可能性も。
この記事では、熨斗の基本的な知識から、水引の種類やその意味、そして慶事(お祝い事)と弔事(お悔やみ事)での正しい使い分けまで、皆さんの疑問をスッキリ解決します。これであなたも贈り物のマナー上級者に!
1. 贈り物の基本「熨斗(のし)」とは?
まず、「熨斗(のし)」という言葉が何を指すのか、その基本的な意味から確認していきましょう。
1-1. 「熨斗紙」と「熨斗飾り」の違い
一般的に私たちが「熨斗」と呼んでいるのは、正確には「熨斗紙(のしがみ)」という、水引と熨斗飾りが印刷された紙のことです。
熨斗紙: 贈り物にかける掛け紙全体の名称。
熨斗飾り(のしあわび): 熨斗紙の右上に印刷されている、ひし形や六角形の飾りのことです。これは、昔、高級品とされた「アワビを薄く剥がして乾燥させたもの(熨斗鮑)」を縁起物として贈り物に添えていた名残です。現代では、生もの(肉や魚介類など)を贈る場合には、熨斗飾りはつけません。これは、「これ自体が生ものだから熨斗鮑は不要」という意味合いがあるためです。
1-2. 熨斗紙の役割
熨斗紙は、単に贈り物に貼るものではなく、以下のような大切な役割を担っています。
贈る目的を示す: どのようなお祝い事や弔事なのかを明確に伝えます。
贈り主の心遣い: 相手に対する敬意や丁寧な気持ちを表します。
品格を高める: 贈り物をより正式で丁寧な印象にします。
2. 贈り物の象徴「水引(みずひき)」の種類と意味
熨斗紙の中央に結ばれているのが「水引」です。水引は、その色や本数、結び方によって込められた意味が大きく異なります。ここが最も間違えやすいポイントなので、しっかりと理解しましょう。
2-1. 水引の色と本数の意味
色:
紅白: 最も一般的で、慶事全般に使われます。
金銀: 格式の高いお祝い事(結婚祝い、長寿祝いなど)に使われます。
赤金: 紅白と同様、慶事に使われることがあります。
黒白: 弔事全般に使われます。
黄白: 弔事、特に香典返しや法要などに使われることがあり、黒白よりも控えめな印象です。主に西日本で多く見られます。
青白: 弔事に使われます(地域によって黒白や黄白の代わりに用いられることも)。
本数:
奇数本(5本、7本、9本など): 主に慶事に使われます。5本が基本で、豪華にしたい場合は7本、9本と増やすこともあります。
偶数本(10本): 結婚祝いなど、一度きりで繰り返さないことを願う慶事に使われます。「夫婦が手を取り合う」という意味で偶数本(5本を2束で10本)とされます。
偶数本(4本、6本): 主に弔事に使われます。4本が基本です。「二度とないように」という意味合いで奇数本にする場合もありますが、一般的には4本が多いです。
2-2. 水引の結び方の種類と使い分け
水引の結び方は、大きく分けて「蝶結び」と「結び切り」の2種類があり、それぞれの意味を理解することが非常に重要です。
蝶結び(花結び)
特徴: 簡単にほどけて、何度も結び直せる形をしています。
意味: 「何度繰り返しても良いお祝い事」に使う結び方です。
使われるシーン:
出産祝い、入学祝い、新築祝い、お歳暮、お中元、お年賀など、何度あっても嬉しいお祝い事全般。
お礼やご挨拶など、日常的な贈答にも使われます。
水引の色・本数: 紅白、赤金などが一般的。5本、7本が主流。
結び切り
特徴: 一度結ぶとほどけにくく、二度と結び直せない形をしています。
意味: 「二度と繰り返したくないこと」や「一度きりのお祝い事」に使う結び方です。
使われるシーン:
**結婚祝い、快気祝い、弔事(香典、お供え)**など、一度きりで終わらせたいこと、あるいは繰り返したくないことに使われます。
お見舞いにも使われます。
水引の色・本数:
慶事(結婚祝い、快気祝いなど): 金銀または紅白の10本(結婚祝い)、紅白の5本(快気祝いなど)。
弔事(不祝儀): 黒白、黄白、青白の4本(宗派や地域により5本、6本の場合もあり)。
あわじ結び(鮑結び)
特徴: 結び切りの一種で、両端を引っ張るとさらに強く結ばれる形をしています。見た目が複雑で美しいのが特徴です。
意味: 「末永くお付き合いしたい」「長寿」の意味も込められ、慶弔どちらにも使われます。
使われるシーン:
慶事: 結婚祝い、快気祝い、長寿祝いなど(紅白、金銀)。
弔事: 香典、お供えなど(黒白、黄白)。
水引の色・本数: 慶事では10本、弔事では4本が一般的。
3. 熨斗紙の書き方(表書きと名入れ)
水引の種類だけでなく、熨斗紙の「表書き(贈り物の目的)」と「名入れ(贈り主の名前)」の書き方も重要です。
3-1. 表書き(上書き)
水引の上の部分に書くのが「表書き」です。贈り物の目的を明確に書きます。
お祝い事: 「御祝」「御出産御祝」「御結婚御祝」「内祝」(内祝いの場合)など。
お見舞い: 「御見舞」
お歳暮・お中元: 「御歳暮」「御中元」
弔事: 「御霊前」「御仏前」(仏式)、「御玉串料」(神式)、「御香典」(不祝儀)など。
3-2. 名入れ(下書き)
水引の下の部分に書くのが「名入れ」です。贈り主の名前を書きます。
個人名: 中央にフルネームで書きます。連名の場合は、右から目上の順に書くのが一般的です。
会社名: 個人の名前より少し小さめに、名前の右上に書きます。
内祝いの場合: お返しなので、中央に赤ちゃんの名前や、連名の場合は世帯主の名前を書き、その下に少し小さく赤ちゃんの名前(ふりがな付き)を書きます。
3-3. 外熨斗と内熨斗
熨斗紙の掛け方にも「外熨斗(そとのし)」と「内熨斗(うちのし)」があります。
外熨斗: 品物の包装紙の外側に熨斗紙をかける方法。
目的: 贈り物を強調したい、贈答品であることが一目でわかるようにしたい場合に適しています。持参する贈り物などによく用いられます。
内熨斗: 品物を包装してから、その上から熨斗紙をかけ、さらにその上から包装紙で包む方法。
目的: 控えめに贈りたい、配送中に熨斗紙が破れたり汚れたりするのを防ぎたい場合に適しています。宅配便などで贈る際によく用いられます。
まとめ:気持ちを伝える「熨斗」でスマートな贈り物に!
贈り物の「熨斗」は、その種類や使い方に細かなマナーがありますが、これは決して堅苦しいものではなく、相手への心遣いや敬意を表す大切な日本の文化です。
熨斗飾り: 生ものにはつけない。
水引の色: 慶事は紅白・金銀、弔事は黒白・黄白・青白。
水引の本数: 慶事は奇数本(5本が基本)、結婚は10本。弔事は偶数本(4本が基本)。
水引の結び方:
蝶結び: 「何度あっても嬉しい」お祝い事(出産、入学、お歳暮など)。
結び切り: 「一度きり」のお祝い事(結婚、快気祝い)や弔事。
あわじ結び: 慶弔どちらにも使える(結び切りの一種)。
これらのポイントを押さえて、状況に応じた適切な熨斗紙を選ぶことで、あなたの「おめでとう」や「ありがとう」「お悔やみ」の気持ちが、よりスマートに、そして確実に相手に伝わるはずです。これからは自信を持って、贈り物のマナーを実践してくださいね!